単純に暇でありたい。

音楽トーク等

単純に暇でありたい。

【会話劇】モダンチョキチョキズのボンゲンガンバンガラビンゲンの伝説+α

 

雪乃「シンガーの浜田麻里さんの話題が出ると、高確率で『タレントの濱田マリじゃないよ』ってみんな言うよねぇ」

浅水「確かに。表記違いの同姓同名だけど、【はまだまり】さんを聴いていた私としては複雑かも」

雪乃「やっぱり聴くんだね! 樋口宗孝さんがプロデュースしたアルバムはアタシも好きだよー」

浅水「ああ、ごめん。メタルの浜田麻里さんじゃなくて」

雪乃「え、その打消しパターン初めて聞いた! てか、濱田マリさんの方なの?!」

浅水「もちろん浜田麻里さんも聴くけどね、私、モダンチョキチョキズ聴いてたからさ」

雪乃濱田マリさんの音楽がその……モダンチョキチョキズ? って言うグループなの?」

浅水「そ。モダチョキのおかげでコミカルな歌詞が平気になったから、モダチョキには感謝してるんだ」

雪乃「へぇ。もう活動は止まってるんだよね」

浅水「2020年にライブ活動を再開させたよ、COVID-19の影響もあるから頻繁にやってないけどね。リーダーの矢倉さんは不参加とは言え、往年のメンバーは参加してる」

雪乃「なるほどー。そのモダチョキの作品ってどれくらい出てるの?」

浅水「オリジナルアルバムだと『ローリング・ドドイツ』『ボンゲンガンバンガラビンゲンの伝説』『くまちゃん』。コンピ盤の『別冊モダチョキ臨時増刊号』とリミックスアルバムも含めれば5作品だね」

雪乃「個性的なネーミングだねぇ。特に二作品目の『ボンゲンガンバンガラビンゲンの伝説』って名前が特にインパクト強いかな」

浅水「その『ボンゲンガンバンガラビンゲンの伝説』はモダチョキ聴くならそこそこオススメだと思うよ。本当にオススメするなら『別冊モダチョキ臨時増刊号』なんだけど」

雪乃「ホントに? せっかくならその『ボンゲンガンバンガラビンゲンの伝説』について教えてもらおうかな」

浅水「じゃあ、帯を見てほしいんだけど──」

本物の駄作!

「ボンゲンガンバンガラビンゲンの伝説」とは何か?それは失われた幻のミュージカルの題名に他なりません。一度も上映されることなく不幸な運命を辿った作品とその作者。ふとしたことから我等モダチョキがその存在を知ることとなり、現存するスコアの断片を編集、アレンジして世界初公開となったのです。

『ボンゲンガンバンガラビンゲンの伝説』帯より

雪乃「文章だけ見ると、グイン・サーガのように他の作者が物語を引き継いだような、そんなコンセプチュアルな内容なんじゃないの? ところで、『本物の駄作!』が気になるんだけど……」

浅水「まあ、この帯に書かれている内容は作品の内容に関係ないからね」

雪乃「いやあ、まあそうなのかもなーとは思ってたけど(汗)。で、このブックレットの背表紙に人の名前がビッシリと記載されてるけど……」

浅水「それは参加メンバーだね。このアルバムは参加メンバー70人居ることになるね」

雪乃「……帯は幻のミュージカルを編集した作品と謳い、メンバーが70人……もう付いていくのが大変な気がするけど」

浅水「でも曲は凄く良いよ。雪乃なら恐らく気に入るはず、恐らく」

雪乃「ホントに? じゃあ、聴かせていただきまーす」

www.oricon.co.jp


(──しばらくして。)

雪乃「独特の塊だった……(汗)、でも不思議な雰囲気で聴いていて楽しかったよ」

浅水「ホントに? それなら良かった」

雪乃「"コンガと私"はいきなり老婆のセリフから始まってビックリしたけどね。コンガの演奏と歌声だけで、独特の世界観を最初で築いてた」

浅水「"24時間宇宙一周"は浮遊感があって凄く良いでしょ」

雪乃「歌詞も幻想的なのか抽象的なのか、現実的なのか……その雰囲気も良い味を出してた。そして"海の住人"はすっごくポップで、でも『養殖』ってワードがなんか刺さるね」

浅水「面白い歌詞だよね。続く"ふられ節"はモダチョキを代表する名曲で──」

雪乃「だからこそ歌詞が見たかったのに……なんでこのアルバムって歌詞がほとんど記載されてないの?!」

浅水「製作者の意向なんだから仕方ないよ。でも、"ふられ節"なら長谷部信子さんのブログに記載されてるよ」

http://nop.m78.com/nopdiary/diary.cgi?date=20021228

雪乃「そういった理由で非公開にしたんだー、確かにちょっとシニカルが効いてるもんね」

浅水「"初恋の丘"は由紀さおりさんの曲のカバーだけど、冒頭とコーラスにデタラメ語が入ってるから一筋縄ではいかないんだよね」

雪乃「そのデタラメ語が気になって仕方なかった。あれは無くても良かったんじゃ……」

浅水「でもなかったらモダチョキじゃない、シンプルなカバーになる」

雪乃「それで良いんじゃないの?! それから短い曲のようなものが連続して、"蛇はスネーク"。タイトルだけ見るとcali≠gariが3S名義でやってた"道はロード"を思い出すなぁ」

浅水「結構メロディアスで良い曲だよね、タイトルから分かるように蛇でも愛して欲しいというのと、重い人(HEAVY)をかけてるんだろうね」

雪乃「"主婦になったバーゲン娘"はメタルのような激しい音楽に乗せて、オバサンがオシャレに重きを置いてる主婦に文句を言いまくってるね。鬼女板みたいだ」

浅水「途中曲調が変わって、接続詞が怪しい歌メロが入るよね。その後はコスメブランドについての文句に切り替わる」

雪乃「ただ、"アル●ロ ピ●サロ"は歌詞非公開じゃないから驚きだよ……ファッション●ルスというワードから、前の曲のファッション関連の楽曲に繋がってるんだなって」

浅水「意外とコンセプチュアルでしょ」

雪乃「でも、未完成ミュージカルとは関係ないコンセプトだけど?! そんで"野菜あたまROCK"は濱田マリさんが可愛らしく歌ってるけど、結構凄い事歌ってるよね」

浅水「さすがに歌詞は非公開だね。"有馬ポルカ"はカバー曲だけど歌詞はオリジナルで、どこか異端的な内容が面白い」

雪乃「"あの世へ帰りたい"はレクイエムなのかな? 合唱だけど、メロディーの動きが独特だなあ」

浅水「タイトル曲"凍りの梨 ~ボンゲンガンバンガラビンゲンの伝説~"、これは名曲でしょ」

雪乃「良い曲だね。シリアスで歌詞そのものはバラードだけど曲調はポップで。最後に"コンガと私"のお婆さんが登場するよね。今まで聴いてた曲はお婆さんの話だったってこと?」

浅水「そうなるとコンセプトアルバムになるね。帯の説明はあながち間違いじゃなかったりして」

雪乃「でもミュージカルではないけどなあ……けどこれで終わりじゃないよね」

浅水「そう、ちあきなおみさんの"喝采"のカバーだけど、ブラスによるインストだね」

雪乃「原曲の曲調と歌詞は暗くて切ないよね。でもモダチョキだとどこか明るく感じる」

浅水ちあきなおみさんは1992年に芸能活動を休止──ほぼ引退に近い休止なんだけど、このアルバムが出たのは1993年。予想ではあるけど、トリビュート的な意味合いがありそうなんだよね」

雪乃「ボーナストラック的な位置だし、それはあるかもね。"凍りの梨 ~ボンゲンガンバンガラビンゲンの伝説~"で物語が終わった後で、"喝采"を歌入りでおセンチにカバーしちゃうと何とも言えない気持ちになりそう。だから明るいトーンでインストカバーしたのは正解かも」

浅水「だね。次も一応ボーナストラックになるのかな? 福岡のお菓子をタイトルに冠した"博多の女(はかたのひと)"。放送作家吉村智樹さんが作詞した不思議な曲」

雪乃「博多の女だけじゃなく、他の地域にも同じものがあって、包み紙を変えただけじゃないかーって曲だね。コミカルだけど、曲は意外とプログレッシブなところがあるよね」

浅水「そこが面白いよね。今までの曲を凌駕しちゃうんじゃないかってくらいのパワーがあるし。ミュージカルが続いてるのなら、この曲はアンコール的な感じかな?」

雪乃「そうだったら面白い造りだ! そして最後は次回作の予告……でも、予告の後からが随分長かったね。ダジャレの連発というか」

浅水「フィリップ君さんというダジャレを担当しているメンバーが居るからね。でもクスッとくるよね」

雪乃「まあね。でも次の作品を今作品で予告するって面白いよね。次もある! って喜べる一方、タイトルが発表されてるからワクワクは薄れそうだけど」

浅水「でも、次作『くまちゃん』で予告してた『MADE IN TAIWAN』は出ずに活動が止まったよ。たしか予告してたのはゼンジー北京さんだった」

雪乃「手品失敗してることになるじゃん!(汗) これでアルバムは完結だね」

浅水「この作品聴いてなかったら、たぶん今聴いてる音楽違ったかも知れない。それぐらい私にとって重要な作品だな」

雪乃「コミカルの中に潜むシリアスとシニカル。『ボンゲンガンバンガラビンゲンの伝説』ではそう感じたなー。でも思うのは、大衆向けではないよねぇ」

浅水「確かに。これは人を選ぶのは間違いない。けど、ハマったら抜け出せない気がする」

雪乃「アタシは最初『な、なにコレ……』と思ったけど、聴いていくうちにハマっちゃった」

浅水「『ボンゲンガンバンガラビンゲンの伝説』はとても不思議な作風だけど、その謎めいた世界が面白い。ぜひ聴いてほしいよね」


雪乃「そんなモダンチョキチョキズが今年、新曲出したってニュースを見たよ」

浅水「27年振りだってね、濱田マリさんの歌声と長谷部さんの楽曲が今年になって聴けるなんて嬉しいよね」

open.spotify.com

雪乃「歌詞はしっとりとしてるけど、曲はモダチョキらしいポップさが出ていて、すごく良いね~!」

浅水「企画ものかも知れないから今後新曲が出るか分からないけど、次はコミカルな曲を聴いてみたいな」

雪乃「そうだねぇ。それで出なかった『MADE IN TAIWAN』に繋がったらいいけどな~」

浅水「ね。ゼンジー北京さんの手品が報われたら良いよね」

雪乃「あ、そっち?!」