浅水「奏雨、彩冷える（あやびえ）というバンドは知ってる？」
奏雨「んー……彩冷えるというと、顰蹙買うかも知れんけど……洗濯物事件が真っ先に浮かぶんよね」
雪乃「まあそうだよねえ。葵さん以外の四人が脱退発表をしている一方、葵さんは洗濯物についての日常をブログで発信してたことで話題になったからね」
浅水「『ボーカル以外脱退』とはいえ、LAREINE（ラレーヌ）もかつてKAMIJOさん以外全員脱退してるから、彩冷えるに限ったことじゃないんだけどね」
雪乃「当時のLAREINEがどんな感じだったのか分からないけど、『ボーカル以外脱退』というと世間は彩冷えるが思い浮かぶんだろうねぇ」
奏雨「たしか脱退した四人で同じ名前のバンド組んでなかったっけ」
浅水「AYABIE（アヤビエ）だね。『彩冷えるとしてやり残したことがある』からそんな名前にしたみたいで。そういやあの時、雪乃はどんな気持ちだった？」
雪乃「涼平さんが居なくなっても彩冷えるを続けてたから、葵さん抜きでAYABIEをやったのも……まあ仕方ないのかなーという気持ち。浅水は？」
浅水「正直、気分は良くなかった。理由は夢人さんの歌が上手すぎたから」
奏雨「どういうこと？」
浅水「葵さんの歌声だからこそ彩冷えると思ってたけど、夢人さんがめちゃ上手いから、『これは彩冷えるの権力を恣にしたかったんじゃ……』って。邪推だけどさ」
雪乃「んー何となく分かるよ。でも他に思ったことは、彩冷えるがメジャーに行って歌詞がイマイチになったってのはあるかなあ」
浅水「徳●ジャパンだよね」
雪乃「そうそう、徳●ジャパンに行った時、彩冷えるらしい歌詞が失われるんじゃないかなって」
奏雨「メジャーに行くと歌詞がおとなしくなるっち聞くけど、そんなに？」
浅水「徳●ジャパン以前からシングル「メルト・アウェイ」でメジャー流通してたけど、その頃は良い歌詞だったよね」
雪乃「そう、でも徳●ジャパンに行った一発目のシングル曲"会いたくて"はビックリしたよね。こんな無味無臭みたいな歌詞を葵さんが書くの？ って、ちょっとショックだった」
浅水「曲は良かったよね。夢人さん、良い曲書くから」
雪乃「歌詞がもったいなかった。だからインディーズに戻らないと解散するんじゃないかって危惧してた」
奏雨「徳●ジャパンから音源どれほど出とったと？」
浅水「シングルは「会いたくて」、「夏物語」、「サヨナラ」、「ドラマティック」で、アルバムは『彩 -irodori-』。ファン投票のベストアルバムも出てるね」
奏雨「どれも良くなかった感じなん？」
雪乃「"ドラマティック"は好きだし、「サヨナラ」に収録されてる3曲はどれも良かったよ」
浅水「彩冷えるって冬を題材にしてる曲はアタリが多くて、あのシングルはどれも良かったね。歌詞がシンプルなのは変わらずだけど」
奏雨「結局、葵さん以外は脱退したんだよね」
雪乃「「ドラマティック」が出てから脱退発表があったね。まあAYABIEについての話は置いとくとして、初期の片仮名表記だった頃のアヤビエの話でもしよっか」
奏雨「AYABIEも気になるといえば気になるけど」
浅水「またいつか話すけど、今はどっちが聴きたい？」
奏雨「そう言われたら彩冷えるかな」
アヤビエについて
雪乃「2004年に結成されたアヤビエは涼平さんを中心に結成されたバンドで、タケヒトさん、インテツさん、葵さんは結成当初から居るオリジナルメンバーだね」
浅水「だね、メガマソでイニシアチブをとってることから分かるように、アヤビエでも涼平さんがバンドのブレインだったよ」
雪乃「ほぼ全曲作詞作曲してたもんね。例外はあるけど、"合鍵"、"景"、"スキマノホシ"は葵さん作詞作曲で、それも名曲だよね」
浅水「少ないながらも葵さん良い曲作ってたよね」
奏雨「あれ、葵さんって作曲するん？」
浅水「昔は作曲してたよ。でもメジャー以降、168というソロ名義*1での活動もそうだけど、葵さん全く曲作らなくなるんだよね。彩冷えるで最後に作曲したのって、『エキュメニカル』に入ってる"ハニーフレーバー"かな」
雪乃「あとは「葵 from 彩冷える」というソロ名義でも数曲作ってたよね。後で話すけど「葵＆涼平」でも作曲してたね」
奏雨「なるほど。ところでアヤビエの作品っちいまも入手しやすいと？」
雪乃「中古はそこまで高くないから比較的入手は簡単だと思うよ。オススメの作品を紹介するね、ベストアルバムの『即完音源集』だね～」
奏雨「凄い曲名ばっかやけど……」
浅水「そこが涼平さんワールドというか、魅力だよね」
雪乃「"圧縮-ロール"、"台形の底に溜まった、半透明の澱に顔を長く漬け込みすぎました。"、"ツェッペ氏、食べる。"は正直、取っつきにくいと思うけど、アヤビエの良さが分かってきたらこれらの曲も好きになるハズだから、是非聴いてみてほしいな」
奏雨「へー、気になるけん買ってみよ。他にオススメあるん？」
浅水「あとは、『鉄の島』という作品も聴いてみてほしいね」
奏雨「鉄の島って凄いタイトルやね。コンセプトアルバムみたいな感じ？」
雪乃「そうなるかな。でもストーリーを知るためには「エム」というシングルも必要になるよ」
浅水「けど「エム」はあまり見かけないよね。私持ってないし」
雪乃「アタシも持ってないんだよねえ。とは言え涼平さん節が凄すぎて、鉄の島自体ストーリーを把握するのが難しいから"エム"を聴いたとしても分かるのか不安になるなあ(汗)」
浅水「セシリーという女の子が出てきたりとか」
奏雨「じゃあ、後回しでも良いかなあ」
雪乃「あ、でも『即完音源集』でも"南極"にシゼやヘンレケが出てくるから、どの作品を手に取っても涼平さんの世界を絶対に知る事になるよ」
浅水「メガマソだとトリサイデイシってキャラも出てくるし」
奏雨「ムズそう……」
雪乃「あと、この作品も。和風の曲が好きなら気に入るハズだよ」
奏雨「タイトルが全く和風やないけど……」
浅水「歌詞も全く和じゃないからね。そのギャップが良いんだよね」
雪乃「歌詞の中の「ン」は「レ」で読んでね、とかね」
奏雨「どういうことなん……？」
浅水「通常盤に収録されている"スキマノホシ"はオススメだよ」
奏雨「葵さんの曲やったよね、シングルとはいえバラエティーに富んでそうやけん聴いてみたいかも」
涼平さん脱退後
雪乃「涼平さんは2006年に脱退したんだけど、四人は彩冷えるを続けることに決めて、「君の声と約束」というシングルを出したよ」
浅水「インテツさんが作曲した、冬の冷たさを感じる名曲だね」
奏雨「涼平さんというバンドの司令塔がおらんくなって、彩冷えるの音楽性は変わったんやろ？」
浅水「凄く変わったよ。だから涼平さんの世界が好きだった人は彩冷えるから離れてメガマソを聴くようになったし、当時は不安視されてたんじゃないかな」
雪乃「メガマソはメガマソでめちゃ良いんだけどね。四人になった彩冷えるは『バージンスノーカラー』ってアルバムを出したけど、これ名盤だよね」
奏雨「タイトルやジャケからして冬一色のアルバムなんやろっか、冬の曲は好きだよ」
雪乃「1曲目"バージンスノーカラー"はインテツさんのピアノインストに葵さんが冬をテーマにした詩を書いてるから、アルバムの幕開けに相応しいよね」
浅水「そしてタケヒトさんが書いた"Shine（シャイン）"は夏一辺倒の曲だね」
奏雨「え？」
雪乃「次の"ラピスラズリ"はインテツさんによる激しい曲で、歌詞は非公開だしあんまり聞き取れないし」
浅水「"ヒナタ"は葵さん作曲のアヤビエ時代から披露されてた曲で、春をテーマにしてるよね。この曲すごく好きだな」
雪乃「"メーフィッシュのうた、恋柄の水泡"は人魚をテーマにしてるしっとりとした曲で……」
奏雨「ちょ、ちょっと待って。全然冬やないやん」
雪乃「でも冬の曲はあるよ。"Az"と"ancient-tree"はちゃんと冬だし」
奏雨「少な……てか、このアルバムの前に出たシングルは入っとらんの？」
浅水「"君の声と約束"は入ってないけど、c/wは全部入ってるね」
奏雨「c/wを入れてシングル曲入れんの？」
雪乃「アルバムのDVDに収録されてるよ。彩冷えるにとって大事な一曲だから、曲だけじゃなくて映像付きで聴いてほしかったんじゃないかな？」
奏雨「ってことは音源取り込み出来んやん……」
夢人さん加入後
雪乃「新メンバーに元そろばんの夢人さんが加入して、今の体制が続く感じだね」
奏雨「そろばんっていうバンド名なん？」
雪乃「そうだよ。そろばんでは夢人さんがほとんど作詞作曲してたね。でも解散した後、夢人さん以外の三人はゾロを結成するんだけど」
奏雨「なんか分裂の仕方が彩冷えると似とーような……ボーカルじゃないとは言え」
浅水「探したら他にもそんなバンドたくさん居るよ。そろばんの曲はどれもカッコイイから、ベスト盤出して欲しかったなあ」
雪乃「ね。そんな夢人さんが加入してからはメインコンポーザーは夢人さんに変わって」
浅水「ミニアルバム『エキュメニカル』と『六花星（りっかぼし）』は入手しやすいし、良い曲ばっかりだからオススメだよ」
奏雨「徳●ジャパン以前でフルアルバムは出てないと？」
雪乃「それが出てないんだよね。シングルを出してるから、集めても良いかもね」
浅水「「桜舞う季節に」「ユビサキ」「メルト・アウェイ」「ミカヅキノキセキ」辺りが良いかも」
奏雨「へえ、覚えとこ。調べてみたんやけど、後ろ2作はヴィジュアル系にありがちなc/w違いがあるみたいやね。どのタイプが良いと？」
雪乃「「メルト・アウェイ」ならアタシは"ツクヨミ"が好きだから、Cタイプかな」
浅水「「ミカヅキノキセキ」のc/wだったら"ひなげし"が入ってる、それも同じくCタイプを勧めるよ」
せっかくなのでメジャー以降の作品も
雪乃「"TheMe（テーマ）"や"ミカヅキノキセキ"を中心としたフルアルバムが出ることをアタシは願ってたんだけど、徳●ジャパンでメジャーデビューしてからは『ダメかあ……』って落胆したなあ」
浅水「"会いたくて"ってタイトルで拒否反応が出たのは確かだったね」
奏雨「そんなに酷いんやね。"サヨナラ"は良いっち言いよったけど、"夏物語"はどうなん？」
雪乃「歌詞については何も言わないけど、曲も彩冷えるらしさがあんまり無いよね？」
浅水「そうだね。タケヒトさんが久しぶりに作曲したから『六花星』に入ってた"スリートイブ"のような曲を期待したんだけど……。"会いたくて"からの不安を更に増加させたよね」
雪乃「でも「サヨナラ」でちょっと戻った感あったから期待したんだけど。で、この後に出たアルバムが『彩 -irodori-』」
奏雨「またバージョン違い……しかもフルアルバムやったらなんか萎縮するね」
浅水「ボーナストラックを気にしないならどのタイプでも良いと思うけどね。KENZOさんが作った"growther"は割と好きだから、私は初回盤Aをオススメするかな」
雪乃「アタシは"カナリア"聴きたかったし、あと"未来へ"が単純にアルバムの〆に良かったからオススメするなら通常盤かなあ」
奏雨「初回盤B以外ならどっちでもよさそうやね。本編はどうなん？」
浅水「"0010101"はインタビューで『久しぶりにシャウトを入れた』って言ってたから徳●ジャパンでも許されたんだって期待したけど、全く違うシャウトだったね」
雪乃「アレはビックリしたよね。アヤビエの時みたいなギャウギャウ言ってたシャウトを想像してたから、まったく知らないタイプの叫びやってるなーって」
奏雨「なんか似た曲名無かった？」
雪乃「『バージンスノーカラー』に入ってる"0010"だね。関連性はあんまり無いけど」
浅水「AYABIEでも"0010101.0"って曲あったけど、何でシリーズ化しようと思ったんだろう」
雪乃「"0010101"はシャウトが変なだけで曲はカッコイイよ。次が"会いたくて"だからワクワクは崩れちゃうけど」
浅水「アルバムの中でオススメするなら"action"、"Labyrinth"かな」
雪乃「唯一のバラード"映写機が映す空"は『エキュメニカル』に入ってた"戦場カメラマンと最期"に関連した曲だから、その曲が好きなら気に入るかも」
奏雨「言うほど悪いアルバムやないみたいやね」
浅水「そこまではね。でも徳●ジャパン以前の方が良いことは間違いないよ」
奏雨「徳●ジャパンになってからのDISが凄いんよね、さっきから(汗)。そのアルバムの後に出た「ドラマティック」は好きっち言いよったね」
雪乃「徳●ジャパンで出したシングルの中では一番良いかも」
浅水「だからここで心機一転かな？ って思ったら脱退騒動だもんね」
雪乃「ね。ちなみにファン投票のベストアルバムが出てるって言ったけど、ソレを買っても良いと思うよ」
奏雨「へえ、そうなんや。ファン投票やったら想定外の曲とか入りそうやけど」
浅水「その想定外の曲は入手困難な限定シングルが主だから、割りと良い収録内容だよ」
雪乃「"electric moon light"、"Day Dream"、"エクストリーム・マシーン"、"ecumenical image"、"ブラウニー"の5曲だね。どれも良い曲だし、シングル以外の曲は良曲が選ばれてるから、このベストは良いと思うよ」
浅水「ただ、中古だとあまり見かけないけどね。まだ新品取り扱ってるのかな」
奏雨「もしあったら買ってみるよ」
葵＆涼平というユニット
浅水「彩冷えるが分裂して、葵さんはかつてのバンドメンバーだった涼平さんと限定的なユニットを結成するけど、アヤビエの復活みたいな感じで嬉しかったね」
雪乃「確かに！ 活動期間は短かったけど、アルバム出てるし、彩冷えるが好きなら聴いてほしいかも」
奏雨「おお、曲名が昔のアヤビエっぽさがある」
浅水「しかも久しぶりに葵さんが作曲してるから、そこもポイントだね」
雪乃「"勿忘草"は"合鍵"をアレンジした曲だから、"合鍵"が好きな人は戸惑うかも知れないけど……」
浅水「私がそうだった(苦笑)。ボーナストラックにはアヤビエの入手困難なシングル曲がリテイクされてるから、やっと聴けるよって嬉しかった」
雪乃「シングル「モノクローム」の各タイプに"南極"と"景"のリテイクが入ってるから、同じものを買うことに抵抗が無いならソレも聴いてほしいな」
奏雨「ところで、メンバーは再集結したんよね。以降の作品は？」
浅水「メンバーが五人に戻ったけど、音源をまともな販売しない変なやり方してたから私は見限ったというか。具体的には言わないけどね」
雪乃「製作費の問題なのか分からないけど、『ライブに来ない人はデジタル音源で良いだろ』的なのが見えて、アルバム欲しかったのにアレはガッカリだったよね」
浅水「ただ『環世界』は販売してるみたい。でも買ってないよ。"センチメンタル バイ ナデシコ"は試聴してみたけど、サビがほとんど"ミカヅキノキセキ"だったから、これは活動続かないんじゃ……って思ったら活動休止したね」
【いつも応援してくださっている皆様へ】 pic.twitter.com/29zamY6CZR
— 彩冷える公式 (@AyabieOfficial) 2022年8月22日
奏雨「あー、じゃあ最新作以外はそもそも入手できんのやね」
雪乃「だね。再集結した彩冷えるはアタシも見限ってるから、何もコメントできないかな」
浅水「だから、cali≠gariの"マス現象"を聴いてみると良いよ」
奏雨「え、なんで急にcali≠gari??」
浅水「まあいいや。次はAYABIEの話だっけ」
奏雨「あっ、それはまた今度で……(汗)」
*1:初期は「168 -one sixty eight-」、「葵 -168-」名義だった
